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品川翔英中高の挑戦
「学び続けるLEARNER」を育成する教育 002

本校の取り組み
本校の生徒目標は「学び続けるLEARNER」の育成です。変化の激しい社会に生きる生徒にとって、「学ぶ」ということは大切な取り組みです。加えて、「学び方」にも注目をしています。「学び方を学ぶ」という意味で、「自己調整学習」という学習方法を取り入れています。
2022年度から、美馬のゆり教授(公立はこだて未来大学)を招へいして、年数回の講演会、教師向けの研修会を行いました。
2023年度には、講演会に加えて、『学習設計マニュアル』を下敷きにして、品川翔英版「学習設計マニュアル」を作成する予定です。

今回は、美馬のゆり教授と柴田哲彦校長の2回目の対談の様子をお届けします。

美馬 のゆり 先生
学習環境デザイナー/学習科学者
公立はこだて未来大学システム情報科学部 教授
電気通信大学(計算機科学)、ハーバード大学大学院(教育学)、東京大学大学院(認知心理学)で学ぶ。
博士(学術)。公立はこだて未来大学および日本科学未来館の設立計画策定に携わる。


柴田 哲彦 本校校長
品川翔英中学校・高等学校 校長
福岡、東京で私立中高一貫校の開設に携わり、海陽中等教育学校教頭兼事務長を経て現職

美馬のゆり先生と柴田哲彦校長との対談

柴田哲彦校長【以下(柴田)】
生成型AI・ChatGPTについて、2023年3月に美馬先生からお話を聞いて、本校でも最先端の内容をより意識すべきだと感じました。

美馬のゆり先生【以下(美馬)】
2023年3月時点では、生成型AI・ChatGPTは、まだ新聞でもそこまで話題になっていませんでした。私自身、教育現場にも転換が迫られる内容であると感じており、この事をずっと考え、アメリカのセミナーにも参加したりして動向を注視していました。

- 柴田
実は、私も中高一貫生の修了式の式辞でChatGPTを使ってみました。ChatGPTで作成された式辞はあっさりした内容で、その後に読み直した自身で書いたものとは大きく違っていたという感想が出席者からありました。美馬先生が、本日の講演会(7月1日実施 中学1・2年生対象)の中で、今まさしく「転換期」ではなく。「転換点」ということをおっしゃっていましたが、そうだと感じています。また、本校では授業でもChatGPTを使用する授業を実施しています。

- 美馬
ChatGPTの式辞について、あっさりした内容であったと柴田先生はおっしゃられましたが、ChatGPTがより情報を取り込んでいくと、人が作成したものと見分けがつかなくなってきます。そういう時が到来することを考えると、本日の講演でも話しましたが、ChatGPTについては、使いながら、その利益と弊害を併せて理解していかなければいけないと思います。またChatGPTを授業で取り扱うためには、先生方がどうガイドするかも重要だと考えます。

- 柴田
中高一貫の授業でChatGPTの取り上げることを認めたのは、その授業を行う先生がChatGPTについて理解を深めていける教員と判断したからです。実際に、その先生にお任せして良かったと感じました。。

- 美馬
日本は、戦後、仕事や生活、教育においても「効率」を求めてきましたが、改めて「不便益」ということ考え直す必要があります。不便であるところに益があるというものの見方です。ChatGPTを手にしている今、このことを考えていくことが重要です。そして、よりよい社会を作っていける生徒をどう育てていくのかが、とても大切になっていきます。

- 柴田
火起こしからマッチ、マッチからライター、ライターからコンロ、コンロから電子レンジというように人間はより便利さを求めてきたという話を学校説明会で話したことがあります。また、先日は、南米コロンビアのアマゾンのジャングルで飛行機墜落事故に遭って行方不明になっていた4人の子どもたち(13歳、9歳、4歳、1歳)が40日ぶりに救出されたというニュースがありました。ジャングルの中で13歳のお姉ちゃんが1歳の子の面倒を見ながらサバイブしていた。このような状況を、私たち現代に生きる日本人は一度振り返ることが必要だと思います。まさしく「不便益」という意識ですね。

- 美馬
人間は一旦手にいれたものを手放すことはとても難しいです。便利なものについて、どこに使って、どこで使わないかということを今一度、考え、判断していくことです。ChatGPTの使用については、今まさにそのことを考える必要が迫られていると考えています。

- 柴田
現代人の生きる力を、逆説的に問われているのではないかと思います。日本はただでさえ、海外の情報が入ってきておらず、他国にと遅れている部分があると思います。そういう意味では、本校は常に新しいことに取り組み、リスクを恐れずに挑戦していきたいと考えています。

さて、そもそもに話になるのですが、本校と美馬先生の出会いは、『AIの時代を生きる』(岩波ジニュア新書)の書籍がきっかけとなりました。この本を読み、校長として、「いま中高生に必要なことだ」と思って、美馬先生にコンタクトをとりました。

- 美馬
そうでしたね。実は『AIの時代を生きる』は、2023年の中学や高校、大学入試で20校以上「出題」されたと聞いています。多くの教育関係者が手に取ったのだと思います。この本には、ChatGPTの話は出ませんが、基本的な考え方等は通じるものと思っています。

- 柴田
おそらく、生徒はChatGPTの便利さに気づき、いろいろと使い始めますね。ですから、学校として、「どのように向き合うのか」という点から、今一度、このような教育環境のなか、どのような教育を行うのか、「何を行う」「何を行わない」という点を、今一度整理をして、確実に実践を積んでいきたいと思います。

本日はありがとうございました。


1. 鈴木克明、美馬のゆり[2018]『学習設計マニュアル: 「おとな」になるためのインストラクショナルデザイン』北大路書房
2. 美馬のゆり[2021]『AIの時代を生きる: 未来をデザインする創造力と共感力』岩波ジュニア新書
3. 1928年~1980年に活躍した、国語教師・国語教育研究家

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