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第6回FIRE開催報告 ―脳科学は現代人の必修科目―

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授業・学び

―「やる気スイッチは脳にある」―

12月9日(火)、INNOMAG(図書室)において、第6回FIREを開催いたしました。今回は、お茶の水女子大学の毛内拡先生をお招きし、最新著書『世界一やさしい脳科学入門 やる気が出ない理由は脳に聞いてください(14歳の世渡り術)』(河出書房新社)を題材にご講演いただきました。

「やる気が出ないのは脳の仕業なのか」という問いを出発点に、脳科学の観点から、やる気を引き出すための考え方をわかりやすくご解説くださいました。

毛内先生によれば、脳は10万年前からほぼ完成しており、急速に発展した現代文明に対し、適応が追いついていない面があるとのことです。情報過多や不安にさらされやすい現代社会においては、脳の特性を理解し、上手に活用することが重要だと語られました。

■ やる気を高めるための3つのポイント

  1. 新しい体験をする
  2. 喜びや感動を味わう
  3. 人のために行動する(オキシトシンの分泌)

これらは、本校の校訓である「自主・創造・貢献」とも重なる内容です。先生は「脳科学は現代人の必修科目である」と述べ、脳のどの領域が将来発達するかは予測できないため、均等に興味を広げる必要はないと指摘されました。得意分野と結びつけることで「0が1になる可能性」が生まれ、対話を通して広がりを得ることが大切であるとの示唆をいただきました。また、戦略的に得意を伸ばすアプローチの有効性についても触れられました。

人間は、誰か一人で抱え込むのではなく、コミュニケーションを基盤として進化してきた存在であるため、AIとも適切な距離感で関わり、「答えを与えすぎない」ことの重要性にも言及されました。社会には明確な答えのない課題のほうが多いという指摘が印象的でした。

さらに、脳の持久力を高める要素として、アートや和文化の意義も紹介されました。芸術は他者の世界の見方を知る手がかりとなり、世界の解像度を上げる経験が「くじけない脳体力」につながるとのことです。日本には千年以上続く文化が多く残り、天才に依存しない柔軟なシステムを学ぶことができるとも述べられました。失敗や試行錯誤を積み重ねる中でこそ、脳は豊かに育まれるという示唆もいただきました。

また、熱心に耳を傾けていた生徒へのアドバイスとして、「通知をオフにする」「単純作業から手をつける」など、日常的に取り入れられる脳疲労の予防策も紹介されました。

「意識が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば運命が変わる」。
今回のFIREは、まさにその第一歩となる貴重な学びの時間となりました。